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ストレスチェック制度の準備で最初につまずきやすいのが、「誰が対象者なのか」という点です。パート、契約社員、派遣労働者が混在する企業では、社内説明が曖昧なままだと混乱が起きやすくなります。
対象者の考え方は、会社全体の感覚で決めるものではありません。厚生労働省が示す「常時使用する労働者」や事業場単位の考え方に沿って整理していきます。
First View Guide
対象の基本
常時使用する労働者が基本です。
確認が必要
パートや有期雇用は契約期間と所定労働時間で判断します。
派遣労働者
派遣元で実施する考え方が基本です。
人数判定
50人以上かどうかは会社全体ではなく事業場単位で見ます。
制度全体を整理したい方は、関連記事と一覧ページもあわせて読むと全体像をつかみやすくなります。
厚生労働省の制度説明では、ストレスチェックの実施義務の対象となるのは「常時使用する労働者」です。これは健康診断の対象判定と同じ考え方で、次の①②の両方を満たす労働者を指します。
そのため、雇用形態の名称だけで単純に線を引くのではなく、契約期間や所定労働時間などを踏まえて判断することになります。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ① 契約期間 | 期間の定めのない契約、または契約期間が1年以上(契約更新で1年以上の使用が見込まれる場合・1年以上引き続き使用されている場合を含む) |
| ② 労働時間 | 1週間の労働時間が、同じ事業場で同種の業務に従事する通常の労働者の所定労働時間の4分の3以上 |
①と②の両方を満たす労働者が実施義務の対象です。なお②が4分の3未満でも、おおむね2分の1以上であれば実施が望ましいとされています。
出典: 厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」。
パートや契約社員であっても、一定の条件を満たせば対象になることがあります。逆に、有期契約が短い、所定労働時間が短いなどの場合は対象外となるケースもあります。
雇用形態の名称ではなく、前述の「契約期間」と「労働時間」で判断するのが基本です。誤解が生まれやすい部分なので、対象判断の基準は社内周知資料にも書いておくのが安全です。
| 雇用形態 | 対象の考え方 | 判定の目安 |
|---|---|---|
| 正社員 | 原則対象 | 契約期間・労働時間の要件を通常満たす |
| パート・アルバイト | 条件付きで対象 | 契約1年以上+週の所定労働時間が通常労働者の3/4以上で対象 |
| 契約社員(有期) | 条件付きで対象 | 契約更新を含め1年以上の使用見込みがあるかで判断 |
| 派遣労働者 | 原則は派遣元 | 雇用関係のある派遣元が実施するのが基本(後述) |
| 短期・短時間 | 対象外となる場合 | 契約1年未満、または労働時間が3/4未満は対象外になり得る |
雇用形態の名称ではなく「契約期間」と「労働時間」で判断するのが基本です。健康診断の対象判定と同じ考え方になります。
出典: 厚生労働省 ストレスチェック制度実施マニュアル/小規模事業場向けマニュアル。
派遣労働者については、個人へのストレスチェックは基本的に派遣元で実施する考え方です。派遣先で勤務しているからといって、派遣先が当然に対象者管理をするわけではありません。
ただし、職場単位の集団分析は派遣先での実施が望ましいとされ、周知や受検機会の確保でも派遣元・派遣先の連携が必要になる場合があります。
| 区分 | 実施する主体 | 補足 |
|---|---|---|
| 個人へのストレスチェック・面接指導 | 派遣元 | 雇用関係のある派遣元が実施義務を負う |
| 集団分析(職場単位) | 派遣先 | 派遣先が自社の労働者と合わせて実施するのが望ましい |
| 受検機会の確保・周知 | 派遣元・派遣先が連携 | 就業実態に合わせた調整が必要 |
個人へのストレスチェックは派遣元が主体ですが、職場単位の集団分析は派遣先での実施が望ましいとされ、両者の連携が前提になります。
名簿を整えて、雇用区分、契約期間、所定労働時間、所属事業場を確認しておけば、制度開始時の混乱はかなり減ります。
50人未満義務化の準備段階では、まず「誰が対象候補か」を洗い出すことが最初の一歩です。
対象者の判定で最後まで残るのが、通常の勤務をしていない人たちの扱いです。定義だけでは判断しきれないため、実施規程にあらかじめ書いておくと担当者が迷いません。
休職者については、休職中に受検を求める必要はありません。ただし対象から恒久的に外すのではなく、復職後に受検機会を案内する運用にしておきます。出向者は、出向元と出向先のどちらと雇用関係があるか、指揮命令を受けているのはどちらかによって判断が分かれるため、出向契約の内容を確認したうえで決めます。
役員については、労働者性があるかどうかで判断します。使用人兼務役員のように労働者としての実態がある場合は対象に含めるのが基本です。取締役として業務執行のみを行っている場合は、労働者にあたらないため対象外となります。
| 区分 | 考え方 | 実務上の対応 |
|---|---|---|
| 休職者 | 休職中の受検を求める必要はない | 対象から恒久的に外さず、復職後に受検機会を案内する |
| 出向者 | 雇用関係と指揮命令の所在で判断が分かれる | 出向契約の内容を確認し、どちらで実施するかを事前に取り決める |
| 役員 | 労働者性の有無で判断する | 使用人兼務役員など労働者としての実態がある場合は対象に含める |
| 海外赴任者 | 国内事業場との雇用関係の有無で判断する | 受検環境(言語・時差)を含めて実施方法を決めておく |
いずれも実施規程に書いておけば、担当者が交代しても判断が揺れません。迷う場合は所轄の労働基準監督署に確認してください。
対象者の判定は一度決めれば終わりではなく、毎年の実施ごとに基準日時点で洗い直す必要があります。入退社、雇用形態の変更、所定労働時間の変更によって、前年は対象外だった人が対象になることがあるためです。
実務では、基準日を実施規程で固定し、その時点の在籍者リストを人事システムから出力して判定する手順にしておくと安定します。判定に使った条件(週の所定労働時間、契約期間、事業場の所属)をリストに残しておけば、翌年の担当者が同じ基準で作業できます。
また、対象者数は報告書の記入項目にもなります。実施前に定義を決めて記録しておかないと、報告書の作成時に数え直しが発生し、受検率の分母も年ごとに揺れてしまいます。
名称だけでは判断できません。契約期間や所定労働時間など、常時使用する労働者に該当するかで判断します。
基本は派遣元での実施です。実務上の案内や調整は必要になる場合がありますが、制度上の主体は派遣元と考えるのが基本です。
いいえ。50人以上かどうかの判断は事業場単位です。本社・支店・工場などの単位で整理します。
休職中に受検を求める必要はありません。ただし対象から恒久的に外すのではなく、復職後に受検機会を案内する運用にしておくと、本人の状態を把握する機会を失わずに済みます。実施規程に書いておくと判断が揺れません。
労働者性の有無で判断します。使用人兼務役員のように労働者としての実態がある場合は対象に含めるのが基本です。業務執行のみを行う取締役は労働者にあたらないため対象外となります。
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本記事は制度理解のための一般的な解説です。実務判断の際は、最新の 法令・通達・所轄労働基準監督署の案内をご確認ください。