2026-04-29 公開
ストレスチェック制度では57項目版が標準として広く使われていますが、近年「新職業性ストレス簡易調査票(80項目版)」を導入する事業場が増えています。これは東京医科大学公衆衛生学分野の研究班が開発した調査票で、57項目の構成を踏まえつつ、ハラスメント、ワークエンゲイジメント、職場の一体感など、職場のソフト面を捉える設問が追加されています。
57項目版でも法令上の制度対応は十分にできますが、「集団分析を職場改善につなげたい」「ハラスメントの兆候を早期に把握したい」「離職予防につながるエンゲイジメントを測りたい」事業場では、80項目版の追加情報が運用設計の幅を広げてくれます。本記事では制度実務の観点から80項目版の特徴と判断基準を整理します。
First View Guide
把握できる領域
57項目版
ストレス要因・反応・サポートの3領域
80項目版
57項目に加えハラスメント・エンゲイジメント等
所要時間(目安)
57項目版
約8〜10分
80項目版
約12〜15分
高ストレス者判定
57項目版
可能(厚労省マニュアル準拠)
80項目版
可能(57項目部分で判定)
集団分析
57項目版
部署別・職種別・年齢帯別
80項目版
57項目相当の分析+職場ソフト面の追加分析
向いている事業場
57項目版
標準的な制度運用
80項目版
職場改善・離職予防・ハラスメント予防に踏み込みたい
制度全体を整理したい方は、関連記事と一覧ページもあわせて読むと全体像をつかみやすくなります。
57項目版(職業性ストレス簡易調査票)は2000年代初頭に開発され、ストレスチェック制度の標準として定着してきました。一方で制度施行から年数が経ち、現場からは「集団分析の結果を職場改善にどう結びつけるか」「ハラスメントや離職予防にもデータを活用したい」という声が上がるようになりました。
こうしたニーズに応えるため、東京医科大学の研究班を中心に「新職業性ストレス簡易調査票」が開発されました。57項目の枠組みを保ちつつ、職場のソフト面(人間関係・組織風土・働きがい等)を補強する設問群が追加されています。
80項目版は、57項目版の設問をすべて含み、さらに約23項目を追加した構成です。追加項目は職場のソフト面に関するもので、おおまかに以下のテーマをカバーしています。
労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度では、高ストレス者の判定は厚生労働省の実施マニュアルに沿って行います。判定は57項目部分で行えるため、80項目版を採用しても法令対応には支障ありません。
追加23項目は、高ストレス者判定そのものではなく、集団分析や職場改善の参考情報として活用するのが基本的な使い方です。「高ストレス者×ハラスメント被害」「高エンゲイジメント部署の特徴」のようなクロス分析が可能になります。
次のような事業場では、80項目版の導入を検討する価値があります。
80項目版を採用する場合、設問数が増えるぶん受検時間が長くなります(12〜15分目安)。受検率を確保するため、受検期間を長めに設定する、繁忙期を避ける、未回答者へのリマインドを丁寧に送る、等の運用配慮が重要です。
また、追加23項目を集団分析でどう使うかを衛生委員会・実施者と事前にすり合わせておかないと、データを取っただけで活用されない事態になりがちです。「ハラスメント設問のスコアが下がっている部署にどう介入するか」を含めて運用設計してください。
はい。高ストレス者判定は57項目部分で行えるため、法令対応は問題なくできます。労基署への報告書(様式第6号の3)も80項目版の結果から作成可能です。
東京医科大学公衆衛生学分野の研究班が開発した質問紙が公開されています。多くのストレスチェックSaaSや外部委託サービスでも採用されており、当サービス(Zene)も標準搭載しています。
サービスによります。当サービス(Zene)では57項目版を厚労省公式の11言語版に準拠して提供していますが、80項目版の多言語対応はサービスごとに状況が異なるため、外国人労働者が多い事業場は事前に確認してください。
可能なら年度切替のタイミングが無難です。経年比較を重視する場合、57項目時代のデータと80項目時代のデータを並べて比較できるよう、57項目相当部分のスコアを継続して見られるかを確認してください。
制度上は可能ですが、設問数が23→80と大幅に増えるため、受検者の負荷が大きく変わります。先に57項目版へ移行してから80項目版へ進む段階的アプローチが現場混乱を抑えやすいです。
Zeneのストレスチェックサービスは、法令準拠の実施から集団分析、 職場環境改善提案まで一気通貫で支援しています。
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本記事は制度理解のための一般的な解説です。実務判断の際は、最新の 法令・通達・所轄労働基準監督署の案内をご確認ください。