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制度担当者がよく聞かれるのが、「従業員は必ず受けなければいけないのか」という点です。受検率を上げたいあまり、健康診断と同じ感覚で「当然の義務」と説明してしまうと、制度趣旨を誤って伝えてしまうおそれがあります。
ストレスチェック制度では、事業者の実施義務と、労働者個人の受け方は分けて整理しておく必要があります。
First View Guide
基本
事業者
制度を毎年実施する義務を負う
労働者
受けないこと自体で懲戒前提にはしない
結果の扱い
事業者
個人情報保護の設計を整える
労働者
不安があれば説明を確認して判断できる
不利益取扱い
事業者
強制や圧力を避ける必要がある
労働者
受けないことだけで不利益を受けない
受検率向上
事業者
周知と導線を整える
労働者
安心して受けるか判断できる
制度全体を整理したい方は、関連記事と一覧ページもあわせて読むと全体像をつかみやすくなります。
ストレスチェック制度では、事業者が制度を実施する義務を負います。一方で、労働者が受けないこと自体を理由に懲戒するような考え方は制度趣旨に合いません。
厚生労働省の指針でも、受けないことを理由とした不利益取扱いを行ってはならないと明記されています。
実務では「受けないのは制度違反」と誤解されがちですが、制度上はそう単純ではありません。むしろ、受けない理由の裏に不安や不信感が隠れていることも多く、そこに目を向ける方が建設的です。
よくあるのが、個人結果が誰に見られるのか、結果提供への同意がどう扱われるのかが伝わっていないパターンです。ここが曖昧なままだと、受検をためらう従業員が出やすくなります。
受検率を上げたい場合は、制度の目的、本人への結果通知、高ストレス者支援、個人情報保護のルールをわかりやすく周知するのが効果的です。
受検しない人を責めるよりも、受けやすい時期や方式、説明の仕方を見直す方がずっと制度に合っています。
小規模事業場では担当者と従業員の距離が近いぶん、受検しないことが目立ちやすくなります。だからこそ、受検有無を人事評価や同調圧力に結びつけない設計を意識してください。
健康診断には受診義務があるのに、ストレスチェックにはない。この違いを不思議に思う担当者は少なくありません。厚生労働省は、受検を義務づける規定が置かれていない理由について、メンタルヘルス不調で治療中のため受検の負担が大きいなど、特別の理由がある労働者にまで受検を強要する必要はないためだと説明しています。
つまり、受検してほしくないという趣旨ではありません。同じ説明のなかで、制度を効果的なものとするためにも全ての労働者が受検することが望ましいとも述べられています。義務ではないが望ましい、という位置づけです。
この立て付けは、結果提供に本人の同意を求めることや、面接指導を本人の申出から始めることとも一貫しています。いずれも、負担の大きい状態にある人を制度が追い詰めないための設計です。この考え方を押さえておくと、社内から出てくる「なぜ強制できないのか」という質問にも筋の通った説明ができます。
受検を促すこと自体は問題ありません。問題になるのは、受けないという選択が実質的にできなくなる状態を作ることです。境目は曖昧に見えますが、実務では次のような区別で判断できます。
全体向けの案内を複数回出す、回答時間を業務時間内に確保する、目的と結果の取扱いを丁寧に説明する。これらは受検しやすい条件を整える行為であり、圧力にはあたりません。一方、個人を名指しして督促する、未受検者の一覧を管理職に配る、受検状況を評価や査定と結びつける。これらは選択の自由を実質的に奪うため、避ける必要があります。
事業者には制度を実施する義務がありますが、受けないこと自体を理由に不利益取扱いを行うことは認められていません。
いけません。厚生労働省の指針では、受けないことを理由とした不利益取扱いを行ってはならないとされています。
個人情報保護や結果通知のルールを丁寧に説明し、受けやすい時期や方式を整えるところから始めてみてください。
ストレスチェックが扱うのは要配慮個人情報にあたる心理的な負担の状況であり、制度の目的も不調者の発見ではなく本人の気づきを支える一次予防にあるためです。気づきは本人の自発性が前提となるため、強制する仕組みとは相性が合いません。
個人を名指しした督促は、受けないという選択を実質的にできなくするため避けてください。全体向けの案内を複数回出す、業務時間内に回答時間を確保する、目的と結果の取扱いを説明するといった、受検しやすい条件を整える方法で促すのが適切です。
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本記事は制度理解のための一般的な解説です。実務判断の際は、最新の 法令・通達・所轄労働基準監督署の案内をご確認ください。