2026-05-23 公開
ストレスチェック制度では、顧問先からの相談を受けて社労士(社会保険労務士)が実務を支援する場面が増えています。一方で「社労士はストレスチェックの実施者になれるのか」「どこまで関与してよいのか」は誤解されやすいポイントです。
この記事では、社労士がストレスチェックに関わる際の正しい立ち位置(実施者と実施事務従事者の違い)と、複数の顧問先を担当するときの運用上の工夫を整理します。
First View Guide
主な役割
実施者
調査票の選定・評価、高ストレス者の選定
実施事務従事者
受検案内、データ入力、記録の保存事務など
必要な資格
実施者
医師・保健師等(労働安全衛生規則第52条の10)
実施事務従事者
資格要件なし(守秘義務は課される)
社労士は就けるか
実施者
就けない
実施事務従事者
就ける(人事権を持たない場合)
主な制限
実施者
法令で職種が限定される
実施事務従事者
人事に直接の権限を持つ者は従事できない
制度全体を整理したい方は、関連記事と一覧ページもあわせて読むと全体像をつかみやすくなります。
ストレスチェックの「実施者」になれるのは、医師・保健師、または厚生労働大臣の定める研修を修了した看護師・精神保健福祉士・歯科医師・公認心理師に限られます(労働安全衛生規則第52条の10)。社労士はこれらの資格に該当しないため、実施者にはなれません。
実施者は、調査票の選定、評価方法や高ストレス者の選定基準への専門的な関与、面接指導の要否の確認といった医学的・専門的な判断を担う役割です。社労士が担うのは、この実施者を支える事務面の役割になります。
ストレスチェックの実務には、実施者の指示のもとで調査票の配布・回収、データ入力、結果の送付、記録の保存事務などを担う「実施事務従事者」という立場があります。実施事務従事者に資格要件はなく、社労士はこの立場でストレスチェックに関与できます。
顧問先の制度設計の助言、実施規程の整備支援、受検勧奨や進捗管理、労働基準監督署への報告書作成の補助など、社労士が日常業務で培った知見はストレスチェックの事務運用と相性が良い領域です。
実施事務従事者には、安全衛生法上の守秘義務が課されます。社労士は社労士法上の守秘義務も負っており、ストレスチェックの個人情報を厳格に取り扱う必要があります。
また、ストレスチェック指針では、労働者の人事に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は、調査票の内容など個人情報を取り扱う実施事務に従事できないとされています。外部の社労士は通常、顧問先企業の従業員に対する人事権を持たないため、この点では実施事務従事者になりやすい立場です。
社労士や社労士事務所が複数の顧問先のストレスチェックを支援する場合、顧問先ごとにアカウントやログイン情報を使い分けるのは煩雑で、取り違えのリスクもあります。
顧問先のデータは事業所ごとに厳格に分離されている必要がある一方、担当する社労士側は複数の顧問先をスムーズに横断して管理できると実務が回しやすくなります。
ストレスチェック(Zene)のマルチテナント機能を使うと、社労士は1つのメールアドレス・パスワードで複数の事業所(顧問先)を管理できます。ログイン後、画面上部のメニューから担当する事業所をワンクリックで切り替えられます。
事業所ごとにデータは完全に分離されており、ある顧問先の情報が別の顧問先に混ざることはありません。複数社のストレスチェックを担当する社労士にとって、アカウント管理の手間とミスを減らせる仕組みです。
なれません。実施者は医師・保健師、または研修を修了した看護師・精神保健福祉士・歯科医師・公認心理師に限られます(労働安全衛生規則第52条の10)。社労士は実施事務従事者として関与します。
実施事務従事者に資格要件や届出はありません。ただし守秘義務が課され、対象企業の従業員に対して人事権(解雇・昇進・異動などの直接の権限)を持たないことが条件です。
マルチテナント機能を使えば、1つのアカウントで複数の事業所を管理でき、ログイン後に切り替えられます。事業所ごとにデータは分離されるため、顧問先ごとに別アカウントを使い分ける必要はありません。
Zeneのストレスチェックサービスは、法令準拠の実施から集団分析、 職場環境改善提案まで一気通貫で支援しています。
本記事は制度理解のための一般的な解説です。実務判断の際は、最新の 法令・通達・所轄労働基準監督署の案内をご確認ください。