2026-06-28 公開
ストレスチェックを実施したあと、結果をいつまで・誰が保存すればよいのかは、運用設計で必ず整理しておきたいポイントです。「とりあえず5年」と覚えている担当者も多いですが、実は保存義務がかかる主体は、本人同意の有無によって変わります。
ここを曖昧にすると、本来事業者が持ってはいけない個人結果を保管してしまったり、逆に必要な記録を残せていなかったりといった事故につながります。労働安全衛生規則の条文に沿って、保存期間と保存主体を整理します。
First View Guide
個人結果(同意あり)
事業者が記録を作成し5年間保存します。
面接指導の結果
事業者が記録を作成し5年間保存します。
個人結果(同意なし)
事業者は保有できず、実施者側で保存します。
集団分析
努力義務で、法定の保存期間の定めはありません。
制度全体を整理したい方は、関連記事と一覧ページもあわせて読むと全体像をつかみやすくなります。
ストレスチェックに関する記録の保存期間は、原則として5年間です。これは労働安全衛生規則に定められた年数で、個人結果の記録と面接指導の結果の記録のそれぞれに保存義務がかかります。
ポイントは、誰がその記録を保存するのかが、本人の同意の有無によって変わることです。次の表で、記録の種類ごとの保存期間と根拠を整理します。
| 記録の種類 | 保存期間 | 根拠 |
|---|---|---|
| 個人結果の記録(本人同意あり・事業者保存) | 5年間(保存義務) | 安衛則 第52条の13第2項 |
| 面接指導の結果の記録 | 5年間(保存義務) | 安衛則 第52条の18第1項 |
| 個人結果(本人同意なし) | 実施者側で保存(年数は規則に明記なし) | 安衛則 第52条の11/指針 |
| 集団分析の結果 | 法定の定めなし(5年保存が望ましい) | 安衛則 第52条の14(努力義務) |
5年間の保存義務がかかるのは、本人同意を得て事業者が結果提供を受けた個人結果と、面接指導の結果です。同意なしの個人結果や集団分析の年数は、規則本文ではなく指針上の「望ましい」扱いです。
出典: 労働安全衛生規則 第52条の11・第52条の13・第52条の14・第52条の18。
ストレスチェックの個人結果は、本人の同意がなければ事業者に提供されません(労働安全衛生法第66条の10第2項後段)。つまり、事業者が個人結果を保存できるのは、本人が結果提供に同意した場合に限られます。同意は書面または電磁的記録で取得します。
同意がない場合は、検査を行った医師等(実施者)やその事務を補助する実施事務従事者の側で記録を作成・保存します。事業者は、その保存が適切に行われるよう必要な措置を講じる立場です。「事業者が無条件に全員分を5年保存する」という理解は誤りなので注意してください。
| 区分 | 同意あり | 同意なし |
|---|---|---|
| 事業者への結果提供 | 可(本人同意が前提) | 不可 |
| 記録の保存主体 | 事業者(5年間) | 実施者・実施事務従事者 |
| 事業者の役割 | 記録を作成・保存 | 適正な保存が行われるよう措置 |
同意の取得は書面または電磁的記録によります。同意しなかったことを理由とする不利益取扱いは禁止されています。
出典: 労働安全衛生法 第66条の10第2項/労働安全衛生規則 第52条の11・第52条の13。
集団分析(部署など一定単位での集計・分析)は、労働安全衛生規則上は努力義務とされており、結果の保存期間についての法定の定めはありません。実務上は、経年比較や職場環境改善の検証に使うため、個人結果と同様に5年程度保存するのが望ましいとされています。
結果提供への同意書も、保存・管理の対象です。誰がどの範囲の結果を見られるかを示す根拠資料になるため、個人結果の保存ルールとあわせて管理方法を決めておきましょう。
保存期間は「最低限これだけ残す」というラインです。期間を過ぎた記録を漫然と持ち続けると、要配慮個人情報の漏えいリスクが上がります。保存期間の起算と廃棄のタイミング、廃棄方法(物理・電子)を実施規程に明記しておくのが安全です。
あわせて、誰が個人結果にアクセスできるかの権限設計も欠かせません。人事権を持つ者が個人結果を閲覧できない状態を保てるよう、保管場所とアクセスログの管理まで含めて設計してください。SaaSを使う場合は、保存期間の管理や監査ログの仕組みがあるかを確認すると運用が楽になります。
5年間の保存義務がかかるのは、本人の同意を得て事業者が結果提供を受けた個人結果と、面接指導の結果の記録です。本人同意がない個人結果は事業者が保有できず、実施者側で保存します。「事業者が全員分を無条件に5年保存」という理解は正確ではありません。
保存期間は最低限残すべき年数です。期間を過ぎた記録は、漏えいリスクを下げるため、実施規程で定めた方法で適切に廃棄するのが基本です。廃棄の手順とタイミングを事前に決めておきましょう。
集団分析は労働安全衛生規則上は努力義務で、保存期間の法定の定めはありません。ただし経年比較や職場改善の検証に使うため、5年程度の保存が望ましいとされています。
どちらでも保存できますが、要配慮個人情報にあたるため、施錠管理・暗号化・アクセス制限などの安全管理が必要です。誰が閲覧できるかの権限設計とあわせて、保管方法を実施規程に明記しておくと安全です。
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本記事は制度理解のための一般的な解説です。実務判断の際は、最新の 法令・通達・所轄労働基準監督署の案内をご確認ください。