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ストレスチェックを受検すると、レーダーチャートや点数が並んだ結果票が返ってきます。しかし「この数字は高いほど良いのか悪いのか」「どこを見れば高ストレスかどうかがわかるのか」がわからず、受け取ったまま活用できていないという声は少なくありません。
この記事では、職業性ストレス簡易調査票(57項目版)の結果票を題材に、A・B・C の3領域が何を測っているのか、素点と素点換算表はどう違うのか、レーダーチャートをどう読むのか、そして高ストレス者判定に使われる2つの方法までを順に整理します。担当者が受検者からの問い合わせに答えられる程度の理解を目標にしています。
First View Guide
A領域|仕事のストレス要因(17項目)
仕事の量・質、身体的負担、対人関係、コントロール度など、ストレスの原因側を測ります。職場環境改善の手がかりになる領域です。
B領域|心身のストレス反応(29項目)
活気・イライラ感・疲労感・不安感・抑うつ感・身体愁訴の6尺度。いま実際に出ている反応を測る領域で、高ストレス判定の中心になります。
C領域|周囲のサポート(9項目)
上司・同僚・家族や友人からの支援の程度。同じ負荷でもサポートが厚ければ反応は出にくいため、緩衝要因として評価します。
制度全体を整理したい方は、関連記事と一覧ページもあわせて読むと全体像をつかみやすくなります。
職業性ストレス簡易調査票(57項目版)は、ばらばらの57問ではなく、意味のまとまりごとに3つの領域へ整理されています。A領域は仕事のストレス要因(17項目)、B領域は心身のストレス反応(29項目)、C領域は周囲のサポート(9項目)です。これに満足度の2項目が加わって57項目になります。
読む順番としては、まずB領域を見ます。B領域はいま実際に心身へ出ている反応そのものであり、高ストレス者判定の中心になる領域だからです。次にA領域を見て、その反応を生んでいる原因が仕事のどこにあるのかを探し、最後にC領域でそれを和らげる支援がどの程度あるかを確認します。原因(A)→ 反応(B)→ 緩衝(C)という因果の流れで見ると、結果票の構造が理解しやすくなります。
| 領域 | 項目数 | 測っている内容 | 読み方の要点 |
|---|---|---|---|
| A領域|仕事のストレス要因 | 17項目 | 仕事の量的・質的負担、身体的負担、対人関係、職場環境、コントロール度、技能の活用、適性、働きがい | 職場環境改善の打ち手を探す領域。集団分析でも中心に使う |
| B領域|心身のストレス反応 | 29項目 | 活気、イライラ感、疲労感、不安感、抑うつ感、身体愁訴の6尺度 | 高ストレス判定の中心。ここが高い場合は原因の有無にかかわらず注意 |
| C領域|周囲のサポート | 9項目 | 上司・同僚・家族や友人からの支援の程度 | A領域の負荷を和らげる緩衝要因。低いとB領域が悪化しやすい |
| 満足度 | 2項目 | 仕事への満足度、家庭生活への満足度 | 法定の高ストレス判定には用いず、補足情報として扱う |
高ストレス者の判定に使うのはA・B・Cの3領域です。満足度2項目は判定式には含まれません。
出典: 厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」。
結果票で最も誤解されやすいのが、点数の意味です。ストレスチェックの結果表示には、素点をそのまま使う方法と、素点換算表で5段階に置き換えて使う方法の2通りがあり、両者で「点数が高い=良い状態」なのか「点数が高い=悪い状態」なのかが逆になります。
素点は、各設問の回答(4段階)を点数化し、領域ごとに合計したものです。判定に用いる際は、すべての設問の向きをそろえたうえで「点数が高いほどストレスが強い」状態になるように換算します。したがって素点方式では、B領域の合計が高いほど心身の反応が強く出ていることを意味します。
一方、素点換算表は、素点を1〜5の5段階に置き換える表です。こちらは「点数が高いほど良い状態(ストレスが低い)」となるよう向きがそろえられており、レーダーチャートの表示にも使われます。同じ人の同じ回答でも、素点で見るか換算値で見るかによって数字の意味が逆になるため、結果票の凡例を必ず確認してください。受検者から「点数が高いから安心してよいのか」と聞かれたときに、どちらの方式かを確認せずに答えると誤った説明になります。
| 観点 | 素点(素点の合計) | 素点換算値(5段階) |
|---|---|---|
| 点数の向き | 高いほどストレスが強い | 高いほど良い状態(ストレスが低い) |
| 取り得る値 | 領域ごとの項目数×1〜項目数×4 | 尺度ごとに1〜5 |
| 主な用途 | 高ストレス者の判定(評価基準の例その2) | レーダーチャート表示、他者との比較(評価基準の例その1) |
| 受検者への伝わりやすさ | 合計点のため直感的に比較しづらい | 5段階で図示でき、直感的に把握しやすい |
同じ回答でも表示方式によって数値の意味が逆になります。結果票の凡例を確認してから読み始めてください。
レーダーチャートは、素点換算値をもとに各尺度を軸として描いた図です。多くの結果票では、外側に広がっているほど良い状態を表します。
この図を読むときのコツは、面積の大小で全体の優劣を判断しようとしないことです。ストレスの感じ方には個人差があり、絶対的な良し悪しを他人と比べても実務的な意味は乏しくなります。見るべきは、自分のなかで極端にへこんでいる軸がどこかという凹凸です。たとえば「仕事の量的負担」だけが大きくへこんでいるなら、業務量の配分に手を入れることが具体的な対処になります。
また、B領域の「活気」だけは他の尺度と向きが異なる点にも注意が必要です。活気は高いほど良い状態を表す尺度であり、疲労感や不安感のように「高い=悪い」ではありません。システムによっては表示上向きをそろえていることもあるため、ここでも凡例の確認が欠かせません。
高ストレス者の判定には、厚生労働省の実施マニュアルが示す評価基準例に沿って、次の2つの方法のいずれかに該当するかを見ます。素点の合計を用いる方法(57項目版)では、方法1がB領域(心身のストレス反応)の合計77点以上、方法2がA領域+C領域の合計76点以上かつB領域の合計63点以上です。
方法1は、原因の有無にかかわらず心身の反応がすでに強く出ている人を拾う考え方です。方法2は、反応がそこまで極端ではなくても、仕事の負荷が大きくサポートが薄い状態が続いている人を拾う考え方で、いわば予防的な網です。この2本立てになっているため、B領域が77点に届かなくても高ストレスと判定されることがあります。
なお23項目版を使う場合は項目数が少ないため基準値が異なり、B領域合計31点以上、またはA+C領域合計39点以上かつB領域合計23点以上が評価基準例となります。80項目版は、法定の高ストレス判定にあたっては57項目版に相当する領域のみを用いるため、基準値は57項目版と同じです。
重要なのは、この数値がそのまま法律で決まっているわけではないという点です。実際に用いる選定基準は、衛生委員会等での調査審議を経て、事業場ごとに実施者が決定します。厚生労働省の基準例は、あくまで出発点として広く使われている値です。
| 判定方法 | 57項目版・80項目版 | 23項目版 |
|---|---|---|
| 方法1:B領域(心身のストレス反応)の合計 | 77点以上 | 31点以上 |
| 方法2:A+C領域の合計 | 76点以上 | 39点以上 |
| 方法2:かつB領域の合計 | 63点以上 | 23点以上 |
| 判定の考え方 | 方法1または方法2のいずれかに該当すれば高ストレス | 方法1または方法2のいずれかに該当すれば高ストレス |
80項目版の法定判定は57項目版に相当する領域のみを用いるため、基準値は57項目版と同じです。
出典: 厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」の評価基準例。実際に用いる選定基準は、衛生委員会等での調査審議を経て事業場ごとに実施者が決定します。
判定式に該当したことは、面接指導の対象者が自動的に確定したことを意味しません。実施マニュアルでも、数値基準による該当状況を踏まえたうえで、実施者が本人の状況を確認して選定することが想定されています。補足的に面談を行い、そのうえで対象者を決める運用も認められています。
また、高ストレスと判定されても、面接指導が行われるのは本人が申出をした場合です。申出をしなかったことや、結果の提供に同意しなかったことを理由に不利益な取扱いをすることは禁止されています。担当者としては、判定結果そのものよりも、申出をためらわせない案内文と導線を整えることのほうが実務的な価値が高くなります。
個人結果は実施者から本人へ直接通知されるもので、本人の同意がなければ事業者は内容を知ることができません。つまり、人事や総務の担当者は「誰がどんな結果だったか」を知らないまま、結果の見方を説明する立場に立ちます。
そのため、案内は個別の数値に触れず、読み方の共通ルールを事前に配布する形が現実的です。3領域の意味、点数の向き、レーダーチャートの読み方、高ストレスと判定された場合の申出方法までを1枚にまとめて結果通知と同時に届けておくと、問い合わせが減り、申出のハードルも下がります。
一方、集団分析の結果は個人が特定されない形で集計されるため、事業者も見ることができます。個人結果は本人のもの、集団分析は職場改善のためのもの、と用途を分けて説明すると、受検者の不安を減らしながら制度の目的も伝えられます。
表示方式によって逆になります。素点の合計で表示している場合は、点数が高いほどストレスが強い状態を表します。素点換算表による5段階の値で表示している場合は、点数が高いほど良い状態(ストレスが低い)を表します。結果票の凡例を確認してから読んでください。
厚生労働省の評価基準例(57項目版・素点の合計を用いる方法)では、B領域(心身のストレス反応)の合計が77点以上、またはA+C領域の合計が76点以上かつB領域の合計が63点以上のいずれかに該当する場合を高ストレスとしています。ただし実際に用いる選定基準は、衛生委員会等での調査審議を経て事業場ごとに実施者が決定します。
面積の大小だけで良し悪しを判断する必要はありません。ストレスの感じ方には個人差があるため、他人との比較より、自分のなかで極端にへこんでいる軸を見つけて対処につなげるほうが実務的です。前年の結果と並べて変化を見る使い方も有効です。
確認できません。個人結果は実施者から本人へ直接通知され、本人の同意がなければ事業者に提供されません。担当者は個人の数値を知らない前提で、結果の読み方を説明する資料を用意する形になります。
数値判定は該当状況を示すもので、面接指導の対象者は実施者が本人の状況を確認したうえで選定します。また実際に面接指導が行われるのは本人が申出をした場合です。申出をしないことを理由とした不利益取扱いは禁止されています。
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